REPORT-4-2

Report – 4

韓国における身体的技法について

Team D : 鬼束実里 木田夕菜 水溜友希 野間口夕琳

4. 韓国での現地調査

(1)調査1日目(8月25日) 


● 韓国に到着

a

鹿児島空港を11時30分に出発し、仁川(インチョン)国際空港に13時に到着した。仁川国際空港は韓国の中心地であるソウルから近く、ソウルへの国際線空港として機能していることから、私達の取った鹿児島→韓国の航空券にはただ「ソウル」とだけ書かれていた。ソウルへの国際線空港というだけあり、空港自体が日本でいう羽田空港並の綺麗さと広さであり、韓国の人だけでなくヨーロッパ系の人や欧米系の人なども見かけ、飛び交う言葉は理解できない言葉ばかりで自分達が今海外にいる、ということを実感した。
今回の私達は身体技法を調査するだけあり、他の班の人達とは違って常に人々(主に韓国人)の行動に目を光らせてなくてはならず、端から見て挙動不審な人間に映らないように注意しながら空港内の人々の様子を観察していた。すると韓国へ到着する人々が通過するゲートの付近で花束を持った男性を若干見かけた。以前日本でのテレビ番組で「帰国してきた妻(彼女)に対して夫(彼氏)が花束を渡す」という習慣があるというのを見た記憶がある。その類いだろうと思い様子を観察していたが、タイミング悪く彼らがパートナーと出会う瞬間を見ることはできなかった。
2時間ほどの自由時間を経て、15時にバスで仁川国際空港を出発し4時間かけ、全州に到着。途中一度だけサービスエリアのような場所に止まりトイレ休憩が与えられた時、私はあることを確かめたくてトイレへ向かった。それは「韓国では紙は流さない」という習慣である。日本人の我々にとってこの習慣は言語の壁の次に大きな問題であり、信じたくはないという一心から確認という行為をとらざるを得なかった。無事確認を終え、私はあまり深く考えるのはやめようと思った。今報告書を読んでいて今回実習に行くという学生は韓国でトイレに入ってゴミ箱を発見したらそういうことだと理解してほしい。

● 全州及び全北大学に到着

サービスエリアを出て、ついに全州に到着した。そこからタクシーで15分くらいかけ全北大学ゲストハウスに到着。ゲストハウスはまるでホテルのような見た目で、部屋もベッド2つにシャワー兼トイレという不自由ない設備だった。
全北大学は鹿児島大学よりも広く、学内を車で移動したいと思うほどであり、夏休みということで学生は少なかったが、バスケットコートで学生が遊んでいる姿を見かけた。そこから晩ご飯の会場であるサムギョプサル店に行く道中で、日本人の私達から見て目にとまる程にカップルたちが人目をはばからず手をつないだり、指をつないだりして歩いたり、肩を組んでベンチに座ったりしていた。

● サムギョプサル店にて

そしてサムギョプサル店に着くと全北大学の日本語学科の学生が9つのテーブルに2,3人くらい座っており、各自適当に着席し、それぞれに自己紹介を始めた。
そこでまず韓国の学生が「何年ですか」と聞いてきたので「2年です」と答えたら、少し考えたような顔をした後に「そうではなくて生まれ年の方です」と言われた。後で聞いてみると、韓国では初対面の人に対して上下関係をはっきりさせるために、まず生まれ年(西暦)を聞くというのが普通らしい。もちろん日本でも年を聞くことは普通ではあるが、開口一番に聞くほどのことではないので、初対面の人に対して上下関係を重んじる点に関しては日本より韓国の方が尊重されていると感じた。 そしていよいよサムギョプサルを食べるとなった時、韓国の人が食器を持たずに食事をしているのを目にして、日本での事前調査でこの身体技法について学んだことを思い出した。韓国の食器は基本的に鉄でできているため熱を持ちやすく、「持つ」ということが単純に難しいのである。
この時「こういう風にそれなりの理由のあるものもあればそうでないものもあるよな」と感じ、自分達の調査の着地点の難しさを改めて実感した。また韓国では法律で19歳から飲酒が許されており、テーブルの上には韓国では国民的なお酒だという緑色の15cmほどの瓶の焼酎があった。ついにお酒の場での身体技法が観察できる、と意気込んでいると同じテーブルに座っている先ほど自己紹介を交わした韓国の学生が「どうぞ、どうぞ」という風に私に対して両手でお酒を注いでくれた。日本でもそうであるように、丁寧なしぐさを行う時は通例片手でなく両手になるのは韓国でも同様なのだと思った。
しばらくすると韓国側の引率の先生であり全北大学日本語学科のイム先生が店に到着した。すると、韓国の学生たちは起立してイム先生に対して挨拶をした。事前調査において韓国では上下関係を重んじるということは知っていたが、事前調査したものを実際に目の当たりにするのには少し感動した。
起立して挨拶といっても、しっかりと45度腰を曲げるどこかの兵隊のような堅苦しいものではなく、「起立する」という動作の方に重きを置いているような風に感じた。そして挨拶する学生ににこやかに挨拶を返した後、イム先生は私達日本学生側の引率の先生である尾崎先生と兼城先生の座っている入り口から入って一番左奥のテーブルに座った。
その後は特に目立った身体技法は見られず、初日のサムギョプサル店における発見は前述程度であった。
サムギョプサル店にて夕食を済ませ、鹿大にも留学していた経験のある韓国側の代表のキムさんが、明日の集合時間やらこれから2次会へ向かうか班ごとに分かれて明日からの調査に向けてカフェで打ち合わせをするかなどの連絡を行った。

△図 2 サムギョプサル店で飲んだ韓国の焼酎

● カフェにて打ち合わせ

私達の班は大学近くに位置する「エンゼルカフェ」という韓国ではチェーン店だというカフェにて今後の実習の計画を練ることにした。また韓国のカフェは基本的に朝の4時まで開いていたりするので、韓国の学生は徹夜でテスト勉強や友達と一緒に勉強するときは、コーヒーやラテをひとつ買って、朝まで居続けたりするのが定番らしい。さらに、レシートにはWi-FiのIDとパスワードが記載されておりカフェ利用者であれば自由に使える。個人的に非常に羨ましいと感じた。日本にもそういうスペースが欲しいものだ。
ポケットWi-Fiを持参しなかった私はカフェでようやくiPhoneの電波を捕まえることができ、さながら乾いた喉が一気に潤される気分であった。いかに自分がネットに依存しているか思い知らされる。これもまた文化のひとつと呼べる気がする。
そのような自責の念を抱きつつも、やはり海外という慣れない土地で久々に(半日ぶりに)日本の友人や家族からのメッセージを見るととても安心した、と同時に初日にして韓国で見聞きしたあれこれをすぐに伝えたいという衝動に駆られた。自分にとって「韓国」という異国の地がいかに新鮮であったかが、この感情で客観的に見て表れていると感じた。 カフェでの話し合いは私達班員4人と私たちの班の担当である、頼れる存在キムさんと彼の院の先輩の計6人で行われた。私達6人はガラスで仕切られた他の席とは少し違った感じの6人用テーブルに通された。
日本人の私達のWi-Fiへの歓喜が落ち着いた後、話し合いは始まった。議題は「どこで身体技法はよく見て取れるか」である。するとキムさんが「明日は土曜日なので『韓屋村』という観光地に行くのはどうでしょう」と提案してくださった。本当にこの人は頼れる。
しかし、私達は思った。「観光地だったら韓国以外の国籍の方も大勢いて、どの人の身体技法をキャッチしたらいいかわからないのでは?」キムさんに聞いてみると、どうやら韓屋村はソウルからかなり離れた場所に位置するので地元の人くらいしか足を運ばないそうである。私たちはこんなに自分達の調査に適した場所があっていいのか、調査はもう成功したようなものかもしれない、と安堵した。
観光地は調査場所である。では場面だとどうだろうか、と考えているとキムさんが「イム先生に対する韓国側の生徒達の反応を見るのがいいと思います」と提案してくださった。 そのことに関しては、前期の授業の時にも尾崎先生や兼城先生から助言として提案してもらっていたものだった。サムギョプサルのお店で全員が起立して挨拶したことからも分かるように、イム先生とその周りを観察していれば何か発見があるかもしれない。それこそ上下関係を表す身体技法は多く転がっているはずだろうと思った。
また大学院生の方にも「メディアから身体技法を観察するのはどうだろう、例えば韓国のテレビ番組とかドラマとか」という提案をいただいた。
私達班員は息を漏らした。これならば韓国実習が終わった後にでも日本で観察調査を続けることができる。盲点であった。
ゲストハウスまでキムさんたちは私達を見送ってくれた。全北大学は広すぎて彼らが送ってくれなかったら確実に迷っていた。日付けはもう変わっていた。
「それでは明日からよろしくお願いします」きっと私達よりしっかり日本語を学んでいる為に、キムさん達の日本語はとても丁寧でしっかりとした発音で聞き取りやすい。「見習わないとな」と普段適当に日本語の略語を恥ずかしげも無く使う自分に反省しながら部屋に戻る。別れ際に班員と明日からの調査の成功を祈り、韓国初日は無事終了した。

(2)調査2日目(8月26日)

結局昨夜寝たのは1時半であった。全体の集合時間は8時半にゲストハウスのロビーで、そこから皆で韓国側の生徒と改めてしっかりと顔合わせを行うための教室へ移動した。これは昨日のサムギョプサルのお店でキムさんが全体で連絡したものであった。しかし、韓国学生の集合場所はまた別であり、そこにはもちろんイム先生も来る。私達はこの機会を逃すわけにはいかなかった。つまり、韓国学生の集合場所へ私達も行き、イム先生が到着した時の韓国学生の反応を記録するということである。これは班で行った、昨夜のカフェでの話し合いで決まり「それなら私が韓国学生の集合場所まで送りますよ」とキムさんが協力してくださった。
集合場所に向かうと、私達が一番乗りだった。8時頃からちらほらと少しずつ韓国学生が集まり出してきたので、いつイム先生が来てもいいようにと少し離れた位置でビデオカメラを構えて待機していた。しかし、本当に少し離れた場所で待機していたために、集合場所に到着する韓国学生のほとんどがこちらを「?」という顔で見ていた。10m先の花壇の前で日本人4人がカメラとメモ用紙を持って横一列に立っていたら気にしないわけがない。「これからは観察するにも目立たない場所で調査対象にこちらを意識させないようにしないとな」と軽く反省し、この後、謎の第一印象を韓国学生に植え付けたままに自己紹介をしないといけないことを軽く憂いた。
そして待つこと約30分、ついにイム先生が集合場所に来られた。ほぼ同時に日本側の生徒も到着した。サムギョプサルのお店と同様に、まずは全員が起立して挨拶。そして韓国学生の年長の方々がイム先生の近く(横や後ろ)を歩くようにして、全体を引き連れて自己紹介を行う教室へと移動をしていった。我々は一番後ろの方でその様子を観察していたが、後ろすぎて前のイム先生とその周りの生徒の様子がはっきり観察できなかったことは今になっても悔やまれる。事前にどこの教室かを把握しておき、その場所に先回りして先頭集団がしっかりと観察できる位置取りをするべきだった。
こう書いていると反省点ばかりが思い浮かんでしまうが、次回韓国実習に参加する人たちは、どんなに下準備を入念にしても実際に現場に出向いたときと想像とは全然違うことがあり、その状況に柔軟に対応できる力を養う良い機会だと思って自分達の反省点をマイナスに捉えないでほしい。

△図 3 韓国の学生とイム先生を観察するために並ぶ班員

教室に入ると、班ごとにまとまって座るようにという指示が出た。そこで初めて自分達D班がこれから調査をともにする韓国学生の面々を知ることになった。1人目は前述通りキムさん男性、2人目はジウォンさん女性、3人目はスヨンさん女性、4人目はジェウンさん女性である。皆さんとてもいい人だなという印象を受けた。また3人の女性の中ではジウォンさんが特に日本語が上手だと感じた。自己紹介のときに私が発言した言葉で意味の分からないものがあればすぐに「ちょっとすいません」と言って私自身に意味を聞いたり、キムさんや韓国学生同士で話し合ったり、アプリの辞書で調べたりと皆とても真面目であると感じた。流石、日本語学科である。自己紹介だけでなく、この韓国実習の意義や、鹿児島大学と全北大学の交流についてイム先生や尾崎先生から話があった後に、本題の調査へ移ることになった。

△図 4 全北大学の校舎

(2)韓屋村にて

カフェでの話し合いで予定していたとおり、我々はまず韓屋村に向かうことにした。二手に分かれてタクシーに乗り目的地へ向かう。初日にも述べているが、韓国のタクシーはとても安い、しかしその分かどうかはわからないが運転がとても荒い気がする。何度か「事故にあうんじゃないか」と心配になるほどだった。
タクシーを降りると人の多さに驚いた。降りて突っ立っていると、すぐに歩行者の邪魔になってしまうほどに人が多かった。また、道路を挟んで向こう側には大きな教会と、城跡が見えた。まさに観光地という感じだ。人の流れのままに無意識に進み、なんとか向こう側へ渡るために信号に辿り着き、青に変わるまで待っていると、後ろから青っぽい服を着た私たちと同年代くらいの男性に呼び止められた。
キムさんが通訳してくれたおかげで彼の言っていることは理解できた、どうやら水不足が深刻な人たちが存在するということを伝える団体の人たちらしい。ついていくとすぐ近くに広場があり、そこにテントをはって説明をしていた。私達が日本人であることを伝えると、もちろん韓国語なので何を言っているかは分からなかったが、にこやかな顔をして少し両手を広げる感じで話していたので、なんとなく歓迎されている気がした。
また、イラストの描いてあるシールを腕に張ってそこに水を付け、シールをはがすことでそのイラストが腕に映るという、日本ではあまり体験したことのないことを体験できた。キムさんに「こういう文化があるんですね」と言うと「子供の頃以来です、なつかしい」としみじみとおっしゃられていた。また私達の名前をハングルで書いてもらった。今でも大事に保管している。
「カムサハムニダ」と韓国語で彼らにお礼を言うと、にこにこしながら手を振ってくれた。もし自分が日本にいて韓国の方に「ありがとう」と片言な発音で言われたら、同じような反応をすると思う。国は違っても同じなんだなと感じた。
ようやく信号を渡ることができた私達は、ひとまず両サイドに食べ物屋さんや雑貨屋さんなどが立ち並ぶ人が大勢行き来する石畳の道を歩くことにした。まるで年に一度のお祭りの日のような大盛況を見せている韓屋村で、我々は家族の姿やカップルの姿、友達同士で休日を楽しんでいると思われる人達の姿の観察を開始した。
私は片手にビデオカメラを構えながら歩く。すると横をスーっと直立のままで若い人が移動しているのが目に入った。今自分の横を何が通過したのか一瞬整理できなかったが、日本ではまだ珍しいセグウェイだった。まさか韓国の道をセグウェイで移動している人がいるとは微塵も想像していなかった。あたりを見渡してみると、至る所でセグウェイの貸し出しがされていて、他にも自転車のような見た目で3人乗りくらいの乗り物や、原付のような2人乗りの乗り物も貸し出されていた。なるほど韓国ではこういうアクティビティが流行しているのか、と感じるとともにそのうち日本にも流れてきそうだなと思った。

△図5 韓屋村のようす 

韓屋村での発見をまとめると、カップルは以前仲の良さを全面に出して過ごしており、日本では見かけない、1人だけが映る写真を撮っている人がかなり多かった。日本でも時々海外の方が、一番映えそうな場所で1人立って1人が撮るという光景を見かける。それが韓国だとよく見かけるのである。

● ビビンバの店にて

昼ご飯は味の都と呼ばれる全北で、テレビでも紹介されるほど有名なビビンバのお店へ向かった。韓屋村から歩いて20分ほどで着いたそこで、我々は2階へ通された。この日の一番の衝撃はここだったかもしれない。バッシングの済んでいないテーブルがあるのにも関わらず、高校生くらいの店員2人は全く焦る様子もなく自分のペースで片付けをしていたのである。私と班員の鬼束は飲食店でバイトをしているため、この光景を目の当たりにして「ありえない、なんでバーって下げないの」「なんで焦らずにいられるの」という言葉を思わず出してしまうほどだった。私のバイト先ではお客さんが帰った瞬間に、全速力でそのテーブルを綺麗にして、いつでも新規のお客さんが入れようにしておくのが普通なのである。思わぬカルチャーショックを目の当たりにしたが、他の韓国人のお客さんはこれといって不満そうな顔をしている人は居なかった。
あとひとつ、その2階の席は靴を脱いで上がるという席だった。靴を見てみると、既に中にいるお客さんの靴はぐちゃぐちゃに脱ぎ散らかされていたのである。そんな中で我々4人の靴だけどこか決まり悪そうに綺麗に整列している。
この2点に関して、私たちは衝撃を受けたのだった。もちろん、ビビンバの本場の味にも衝撃を受けた。

● スーパーにて

お昼を済ませた後、次に人が集まると思われるデパートやスーパーに出向いた。ロッテデパートではこれといった発見はなかったものの、スーパーではいくつかキャッチすることができた。まずは、ビビンバのお店同様に店員さんの態度が良くないという点である。
スーパーといっても近所のスーパーのような小さい物ではなく、広めの校庭くらいの規模がある。土曜日であり自分の行きたい方向に行くのが難しいほどに人であふれかえっていた。すると正面から店員さんが歩いてきた。驚いたことにそのまま私めがけて進んでくるのだ、両サイドには人、棚という状況でなんとか店員さんをよけた。そう、客側がよけたのである。日本であったら店員さんが脇に待機して、客の通過を確認してから進むというのが基本だと思っていた。また、何かのキャンペーンのブースらしき場所では、若い男性店員が膝を曲げた状態で机に肘をついてスマホを触っていた。
私の中であった店員さんとお客さんの関係性や、接客業に就業する人々の客への対応の差というものは衝撃だった。「店員さんは客に対して丁寧で親切」私の考えは韓国という土地では当たり前ではなかったのだ。

● 日韓の国民性

それにしても韓国の人達は男女でとても仲良さそうに白昼堂々歩いている。「韓国の方達ってすごく仲良さそうに歩いてますよね」とキムさんに話しかけてみると「韓国の人達ってあんまり人の目を気にしないんですよ。自分の気持ちに正直だし、相手に対しても自分の気持ちをしっかり伝えたいんです。だから彼女や彼氏と歩くときは『好き』ってことを表したいので手をつないで歩くのは普通だし、誰も気にしないことなんだと思います。日本のカップルとかって距離を置いて歩くときあるじゃないですか。あれは驚きました。要するに、私たち韓国人は自分の気持ちを表に出すことに抵抗が無くて、日本人はそこに『周りの人の目』があることで気を遣うという事なんじゃないですかね」キムさんのこの発言は正論である。むしろ好きな人に対して素っ気ない態度を取ることがある私達日本人の方が問題な気がしてきた。
「自分の気持ちに正直」というのは、とても素敵な国民性だと感じる。店員さんの態度というのも「自分の気持ちを押し殺してまで接客はしない」という心理があるのかもしれないと思った。そっちの方がストレスは感じないし、幸せだと思う。日本では常日頃から周りの目を気にする傾向にあるし、韓国を訪れて韓国人の国民性を知り、そんな我々の国民性に疑問を持ったのも事実である。しかし広い範囲に気を配れるというのは日本人の美徳であるし、恥ずべきことではない。異文化の良さに触れて自文化の良さを再認識できたのは大きい。

● 2日目の調査を終えて

ひととおり2日目の調査が終わり、自分たちの調査テーマである身体技法が難しいものであるということを改めて実感した。事前調査から実感しているのにどれだけ実感すれば気が済むのかと思う。ただ、他の班がアンケートで調査を行っている中で、そういう情報は一切集めず、自分たちの目だけで情報をキャッチしていくという作業はかなり楽しかった。
夕方5時半ごろ、いったんゲストハウスに帰り、昨日と同じようにまた全体でご飯を食べに向かった。2日目にしてもう辛い物は食べたくない。だが、そうはいかず今晩もまた辛いのであった。「こんなに毎日辛い物食べてるの?」とジウォンさんに聞いてみると「私達もこんな毎日韓国料理食べないよ」と言われた。日本から来た私達のために毎日韓国料理のお店を準備してくれてることにようやく気付いて、温かい気持ちになったが、そうは言っても辛い。