REPORT-5-4

Report – 5

韓国の大学生にとってのアルバイトの認識
~鹿児島大学と全北大学を例に~

Team E
鹿児島大学 : 鮫島司 千々和駿 長濵心 針原康平
全北大学 : オムテヤン キムジヨン クヨンジン
チョンダヨン パクスジン

5.アンケートの考察

この章では、主に4章で示したアンケート結果をもとに、それぞれのアンケート結果の下に記した考察をまとめていくことにする。
韓国人学生は長時間のアルバイトを短期間集中的にやっていることが分かった。韓国人学生でアルバイトをしている人は「両立できている」と答えた人が少なかったことから、また、<3>をアルバイトの有無に分けて分析したところ、長時間のアルバイトが勉強時間を削っている実情が明らかになった(<2>-6 の考察を参照)。これらのことから、韓国人学生にとって、アルバイトは一時的に行うものであって、勉強と両立させながら長期にわたって行うものではないことが分かる。
そのような勉強時間を削ってでも行うアルバイトに対して、韓国人学生の多くは消極的評価をしてはおらず、むしろ有意義な時間だと考えていることも明らかになった。アルバイトの生活における優先度も、日本と比較すると高い。
では、なにをモチベーションとして、何が目的でアルバイトを行っているのだろうか。勉強時間も削ることになる、ハードなアルバイトに対する積極的姿勢はどこから来ているのだろうか。<2>の質問で韓国人学生のバイト経験率が94%にも及んでいることからも、その関心の高さが伺える。
インタビューに答えてくれた学生は、全員が金銭面では親から十分な生活費を貰っていた。また、金銭面に問題がある可能性のある実家生や寮生よりもむしろ、金銭面に余裕があるであろう一人暮らしの大学生のほうが現在アルバイトを行っている割合が若干高いことも分かった。よって、金銭面に問題を抱えているためにバイトをしているわけではなさそうである。
この問いに答えてくれるであろう「アルバイトの目的はなんですか」の質問が消えてしまったのは、前にも述べたが非常に悔やまれる。
しかし、この「アルバイトをすることの目的」を果たすために、短期間・長時間労働に、勉強の時間を削ってでも、積極的な意味を見出しながら励んでいるといえるのではないだろうか。これが、私たちの班が導き出した「韓国人学生のアルバイトに対する認識」についての結論である。

6.反省と後輩へのアドバイス

まず、現地での実習を行う前に、日本でアンケート作成し、それを留学生の協力を得て韓国語に翻訳をしてもらったが、その際にアンケートが完成したことに満足してしまい、出来上がったアンケートの細かいチェックを怠ってしまったので現地でのトラブルに繋がってしまった。なので、アンケートは作り終えたあとは、自分達だけでなく、第三者を通して細かくチェックをすべきであった。ほかにも、アンケートの中身に関して言えば、聞きたいことをなるべく簡略的にまとめて、相手にそれほど時間を取らせないようにしなければ、人によっては答えてくれない人がいることもあった。
韓国ではWi-Fiがないとお互いの連絡をする際や、調べものをする際に不便であるので、前もって日本で借りていくか、現地の空港でも借りることができるので準備をすることが必要である。
韓国語を学んでいなくても、韓国語の簡単な挨拶や、日常用語を少しメモしておくだけで、現地の学生やお店の人とのコミュニケーションが取りやすくなるのでやっておいて損はない。アンケート調査などを行う際は、紙に「私達は日本の大学生です。アンケート調査にご協力お願いします」などと書いてみせるだけでも作業の円滑化に繋がるだろう。
実習に行く前に教授からも言われたが、現地で見たもの、感じたことは逐一メモなどに残しておくべきである。後にまとめる際に大切な情報源となってくれるので、疎かにするべきではないものである。
現地の大学生となるべく早く打ち解けた方が、後々の作業の効率や実習の楽しさにも影響を及ぼすので、ためらわずにこちらからでもコミュニケーションは積極的に取っていくべきである。
場合によっては、実地調査の際に、班の中でさらに2グループに分かれて調査などを行うこともあり得るので、調査に必要な道具も複数用意しておくとスムーズに作業が進むだろう。
様々な面で日本との文化の違いを感じる場面があるので、前もって軽く調べておくと、現地で慌てるようなことは回避できる。(例:食事やトイレなど)
現地の空港で円とウォンを両替するが、その時その時で、レートが変わってくるので予定より多めに持っていっておくと、余裕を持って両替および買い物をすることができる。 今回私は思い当たらなかったが、余裕があれば日本製のなにか食べ物でも何でもあると、話題の一つとして活用できるので、持って行ってみるのも良いのかもしれない。(鮫島)

来年韓国実習へ行く、後輩の皆さんへ。シムフリーのスマホを使っている人は、行く前にあらかじめAmazonなどで韓国でも使えるシムカードを買っておくことをお勧めします。7日で1500円くらいで売っています。スマホが使えるだけでとっても助かりました。あとこれは先生方から飽きるほど聞かされているとは思いますが、人の記憶とは儚いものですから、何かにつけてメモなどで記録を残しておくことが大事です。ボイスレコーダーアプリはインタビューの時などにかなり使えます。日記をつけておくと後期の報告書をまとめる時に便利です。
後期の実習報告書をまとめる時には苦労すると思いますが、班の皆で協力して頑張ってください。外国でフィールドワークをする機会は研究者にでもならなければなかなかないと思います。私としては非常に楽しい、今までにしたことのない経験でした。ここでしかできない経験だと思うので、韓国での実習を是非楽しんでください。(千々和)

私たちはアンケート調査が基本でしたが、全北大学生にアンケートを行う際、韓国メンバーに頼りきってしまい、最初のうちはただアンケート用紙を持ち、付いて回っているだけでした。このようでは自分たち実習の意味がないということで、わかりやすい韓国語を大きく紙に書いて、自分たちだけでも回れるようにしました。事前に準備できていなくても、現地でいかに臨機応変に対応できるかが重要だと思うので、よく言われることですが落ち着いて物事を考えることが重要です。
初めはなかなか韓国メンバーとうまくコミュニケーションが取れていませんでした。彼らは日本学科ということもあり、日本語をある程度話せていましたが、私はなんとなくで韓国に行ってしまったので少しくらい勉強しておけば、もっとスムーズに会話できていたのかなと思います。異文化交流は、実際に海外に足を運ばないと分からないことも多いと思うので、自分から意欲的に学ぶことが大事ですね。百聞は一見にしかず、ですよ! 
また、海外に行くということでWi-Fiは必須と言っても過言ではないと思います。私たちは前日に気づきバタバタしてしまったので、前もって予約しておくことがオススメです。 韓国といえば、コスメやファッション、美味しい食べ物もたくさんあるので、短い期間ではありますが、多くを堪能してみてください。実習では見えないものも見えることがあります。(長濵)

事前準備は各班各々の準備の仕方があり、「何をすべき」という決まりはないと感じた。日本と韓国の比較が目的という班は準備段階から早速調査に入ったり、私たちE班のようにアンケート作成・試行に徹したりなど、いろんな準備の仕方があるので、調査に関して何をしておくべきだというものはこれといってない。しかし、私たちE班の反省としては、アンケートが完成したのが日本でのほぼ最後の授業となってしまい、日本でアンケートをとって集計するという作業が実習前にはできなかった。何をすべきかは決まってはいないが、少ない時間の中で、何をすべきかをいかに早く決め、実行していくかが大きなポイントになる。
アンケートについて、翻訳という大きな問題がある。これはアンケートだけに限らないが、日本語を他言語に翻訳するということはハイリスクであると感じた。私たちE班は1人だけ初級韓国語を受講していたということ以外、全く韓国語に精通しておらず、翻訳はおろか理解することすらもできなかった。結局韓国人留学生の方に翻訳していただいたのだが、私たちが韓国語版を見たところでそれが日本語版と同じであるかは確認のしようがない。今回のように集計の時になって初めて違和感を覚え、間違いに気づくのでは遅い。可能であれば日本語版と他言語版ができた時点で、その2つを第三者(日本語と他言語を理解している人)に見てもらい、間違いが無いか確認してもらう必要がある。もし日本でできなければ、現地の先生方などに確認してもらうということもできるので、積極的にお願いしてみることが大切である。
韓国での生活面では何不自由なく過ごせた。強いて言えばWi-Fiがないとインターネットが使えないということやトイレの問題が挙げられる。自分は辛い食べ物とお酒が苦手であるが、辛い食べ物に関しては我慢する必要はなく、辛くないメニューももちろん存在するので心配はいらない。私の場合、せっかく韓国に来たのだからと、辛いものも必死になって食べていたので、滞在が長くなるにつれて多少辛いものでも平気になってしまった。しかしこの報告書を書いているころにはその耐性もほぼ無くなってしまった。何事も継続が大事なのである。
調査に関してだが、いろいろとつまずくことが多いかもしれない。まず現地では調査テーマ・内容や希望する調査方法などを伝えることから始まるのだが、ここで細部までしっかりと伝えられなければどこかで脱線し、いつの間にかテーマから逸れていたということになりかねない。私たちは実際、テーマから逸れたことも調査しており、その調査結果はほとんど役に立たなかった。幸い、本来の目的であるアンケート調査も進めていたので助かったのだが。
時間を惜しまず、調査から発表までを俯瞰して細かく伝えることが大切である。もしそこで、現地においては難航しそうな調査があれば、アドバイスを受けるなどしてよりよいスケジュールを組む必要がある。また、アドバイスを受ける際も、全て鵜呑みにするのではなく、自分たちの意見もしっかりと述べていくこともグループ調査の醍醐味である。ただし、相手側もよりよい調査にしてほしいと願って意見するのであって、それに関して根拠のない反論をするのは良くないと考える。
また、もしテーマから逸れてしまい、また元の目的に戻って報告するには時間がないとなった場合、そのまま突き進むという方法もある。だが、どちらにせよまとめるのには時間がかかるし、事前準備も無駄になってしまうことがあるので、強い覚悟が必要である。
約1週間という短い時間ではあったが、実習でお世話になった全北大学の学生たちとの絆は深いものとなった。別れというのは大変辛いものである。後悔しないように少しでも早く友情を築き、たくさんのよい思い出を作っていただきたい。(針原)