REPORT-5

Report – 5

韓国の大学生にとってのアルバイトの認識
~鹿児島大学と全北大学を例に~

Team E
鹿児島大学 : 鮫島司 千々和駿 長濵心 針原康平
全北大学 : オムテヤン キムジヨン クヨンジン
チョンダヨン パクスジン

1. はじめに

鹿児島大学では多くの学生がアルバイトをしており、E班のメンバーも全員がアルバイトをしている。私たちの知り合いの学生もその多くがアルバイトをしており、アルバイトで得た給料をお小遣いや生活費、学費などさまざまなものに利用している。一方で、韓国人留学生のイムテヤンさんに聞いたところ、韓国の大学生もその多くがアルバイトをしながら大学に通っているという。この話を踏まえて、韓国の全北大学の学生はアルバイトに対してどういった評価を持っていているのか、韓国人大学生にとってアルバイトとはどのようなものであるのかということについて疑問が生じた。
本調査は、日本の大学生と韓国の大学生のアルバイト事情を比較することが狙いである。日本の大学生は鹿児島大学の学生、韓国は全州大学の学生を調査の対象とした。本稿では、私たちE班の調査テーマである「韓国の大学生にとってのアルバイトに対する認識」について、今回の韓国実習と鹿児島大学での調査で得られた調査結果に基づいて記述する。

2. 実習前の準備について

日本の価値観に基づいて「全北大学の学生のアルバイトに対する認識」についての質問をするだけでは全く意味を成さない結果が得られると考え、韓国での経済状況や物価、学生の金銭感覚、アルバイトの平均時給など基本的な情報も含めて質問することにした。これらの多くの質問をインタビュー形式ですると相手方の時間と労力を奪うし、こちらとしても効率が悪いと考え、あまり時間を奪わず簡単に答えることのできるアンケート形式にすることにした。
平成29年度前期の文化人類学実習1の授業を利用してアンケートを作成、試行し、先生方や学生の方々に多くのご指摘をいただいてアンケートを完成させた。以下にアンケート用紙変遷の過程を記す。

(1)アンケート試作 その1

上記は一番初めに作成したアンケート用紙である。見ての通り、回答しにくいアンケートの設問のしかたである。また、質問項目がこれだけでは「アルバイトに対する意欲関心」は見えてはこないだろうということになった。

(2)アンケート試作 その②

その2では質問の仕方を改善し、アルバイトをすることについての評価などの、意欲関心を測るうえで必要であろうと考えた質問項目も追加した。

(3)アンケート 完成版

完成版は、その前のバージョンと質問内容はほとんど変わらないが、質問の仕方をより具体的にした。また韓国語からの翻訳に骨を折ることになるだろうとの指摘を受け、業務内容以外の質問の回答をすべて、自由記述から選択回答にした。選択回答形式にするうえで「その他」にあまり入らないように選択肢を工夫した。さらに、質問ごとに番号を振ることで回答しやすくなるように心がけた。 こうして完成させたアンケートを鹿児島大学の学生75人に実施した。さらにこれを韓国語訳しなければならないが、私たちの能力では翻訳することは難しいと考え、韓国人留学生の方にお願いして韓国語版を作ってもらった。しかしこの時点で私たちの確認不足により、日本語版アンケートと韓国語版アンケートの質問内容に誤差が生じていたが、気付くことなく韓国実習に臨んでしまった。詳しくは後述の「3.韓国での調査過程」を参照していただきたい。