REPORT-3

Report – 3

韓国の若者における整形事情について

Team C : 坂上由莉 吐師瑛美 藤元美奈子

1. テーマ決定までの経緯

私たちC班はテーマ設定に難航した。最初は「韓国におけるジブリ映画の評価」「韓国全州の観光地について」など様々なテーマが挙がったが、それらを掘り下げて調査する見通しがたたず却下となった。その後、韓国は美容大国・整形大国と言われており、私たちも韓国に対して美容や整形のイメージがあることから、韓国における整形事情に関するテーマにすることとなった。
また、テーマにあるように、調査対象を若者にした理由は、韓国実習では現地の大学生との合同調査であり学生と交流することが多い点や、調査対象者が10~20代の男女であったため、韓国の若者に限定することとなった。
こうして、私たちC班は「韓国の若者における整形事情」というテーマに決定し調査することになった。なお、 本調査で取り上げる「整形」とは、美容整形のことを意味するものであり、顔の整形に限定する。

2. 鹿児島での事前調査

鹿児島での事前調査では、文献調査とアンケート調査を実施した。
まず、文献調査では先生から勧めてもらった2冊の本『美容整形と<普通のわたし>』(谷本 2008)、『美容整形と化粧の社会学』(川添 2013)をもとに、韓国における整形について調べた。 
次に、鹿児島大学生を対象としたアンケート調査を行った。
以下では、それぞれまとめたものを示す。

(1)文献調査のまとめ

まず、『美容整形と化粧の社会学』(谷本 2008)には、美容整形の歴史と現状、韓国における整形事情について書かれていた。以下では、それをまとめる。
美容整形はこれまで多くの国でタブーとされてきた。日本でも儒教の教えが取り入れられ、身体加工はタブーとされてきた。明治時代には形成外科手術が行われた記録が残されているが、一般的ではなかった。しかし現代においては、美容整形はかなり承認されてきており、手術件数自体も増加してきている。2005年のアンケートでは調査者のうち「整形したい人」が45.2%(男性24.5%、女性63.1%)に上っている。さて、ポピュラーとなった美容整形は批判的な言い回しがある一方で、容認する言い方もある。現在のところ、様々なものが混在した状況であるといえる。
一方、韓国では、2007年に放送されたニュースで「25~29歳女性の62%が整形している」と報道された。慶熙大のオム氏は、「美容整形手術は美的権利であり、精神の治療という肯定的機能を持っている」として、「単純な容貌劣等感を解決するために整形手術を受けるのではないとの正確な現実認識が必要だ」と語った。
韓国における美容整形の特徴にはいくつかある。一つは、自己満足のためにするものであり、術後はとても自然に見えることが強調されることである。二つ目に「自信」が大切であることである。「自信を補填してくれるもの」という意識を韓国の整形実践者に見ることができる。三つ目は整形を自己管理の一環として捉えていることが挙げられる。四つ目は他者に勧められて整形するというパターンが多くみられた。
つまり、これまではタブーとされてきた整形は承認されてきており、特に韓国の女性の中で整形が浸透しているということが明らかである。
 また、『美容整形と<普通のわたし>』(川添 2013)には、美容整形に関して世界における韓国の位置や韓国の整形事情について書かれていた。以下では、それをまとめる。

表1は、人口1,000人あたりの美容整形件数である。日本は5位、韓国は1位である。この表から、韓国では美容整形を経験した人口の割合が最も多いことがわかる。
以前から、韓国では大学病院などの教育病院でも美容整形が行われてきた。美容整形したことを秘密にすることに対して否定的であり、整形したことを秘密として隠す人やわざわざ言わないという人もいるが、日本で見られるような「秘密」への強いこだわりはない。韓国では、美容整形を人に話すことが多いということから、美容整形の浸透ぶりが目に見える。

(2)アンケート調査の結果

私たちは、鹿児島大学の学生40人を対象にアンケート調査を行った。アンケート内容は、以下の通りである。

A. 韓国の整形についてどのようなイメージを持っていますか。
B-1. 自分が整形することに対して肯定ですか。否定ですか。
B-2. 他人が整形することに対して肯定ですか。否定ですか。
B-3. 恋人が整形することに対して肯定ですか。否定ですか。
B-4. 家族が整形することに対して肯定ですか。否定ですか。

質問Aは、鹿児島大学の学生が韓国の整形についてどのようなイメージを持っているかについて知るためにアンケート項目に含めた。質問Bは、整形対象者を自分・他人・恋人・家族と4つに分け、鹿児島大学の学生は整形をすることに対してどのような考えをもっているかについて知るためにアンケート項目に含めた。これらの調査結果は、以下の通りである。
まず、最初の質問Aについてである。主な回答としては「整形後、体への悪影響がありそう」「手軽な値段で、違法なものが多そう」、「費用がかかりそう」というものであった。次に、質問Bについて述べる。表2は、質問B-1~B-4の調査結果をまとめたものである。

まず、整形対象者が自分自身の場合、12人が肯定すると答えたのに対し、28人が否定的であった。また、整形対象者が他人の場合には32人が肯定すると答えたのに対し、8人が否定的であった。次に、整形対象者が恋人の場合、8人が肯定すると答えたのに対し、32人が否定的であった。そして、整形対象者が家族の場合、9人が肯定すると答えたのに対し、31人が否定するという結果であった。
つまり、鹿児島大学の学生40人にインタビュー調査を行った結果、整形対象者が他人である場合は整形することに対して肯定と答える人が多く、整形対象者が自分・恋人・家族である場合は整形することに対して否定と答える人が多かった。

(3)まとめ

美容整形はこれまで多くの国でタブーとされてきており一般的なものではなかったが、現代ではしだいに承認されてきており、手術件数自体も増加してきている。特に、世界で美容整形の割合が最も高いのは、韓国である。美容整形の理由付けには、自己満足のため、自信をもつため、他者に勧められたためなどがある。美容整形したことを他者に話すことが多く、韓国における美容整形の浸透ぶりが文献調査からわかった。
文献調査以外にも、鹿児島大学生を対象に、韓国における美容整形に対するイメージや美容整形に関する意識調査を行った。鹿児島大学生は、韓国での美容整形に対して「整形後は体への悪影響がありそう」「手軽な値段で、違法なものが多そう」「費用がかかりそう」などのイメージをもっていた。美容整形に関する意識調査では、整形対象者が他人である場合は整形することに対して肯定と答える人が多く、整形対象者が自分・恋人・家族である場合は整形することに対して否定と答える人が多かった。
日本での事前調査から、私たちは、現地で韓国の整形事情について調べることにした。また、日韓比較ができるよう美容整形に関する意識調査を行うことを決定した。