REPORT-2

Report – 2

全州・青年モールと南部市場から見る再開発の影響

Team B : 柴田誠也 高田博行 荒木さくら

1.はじめに

私たちB班は、「全州・青年モールと南部市場から見る再開発の影響」というテーマを設定した。今回の研究の目的は、商店街は衰退しつつあるといわれる今、開発を行うことで地域振興を達成した全州市の南部市場及び青年モールの例を参考として、これから鹿児島市の一番街商店街で行われようとしている大規模な再開発が今後どのような影響をもたらすかということを南部市場の例から見ていくということにある。本稿においてはこの研究テーマを設定するまでのプロセス、鹿児島市・一番街商店街における事前調査、韓国・南部市場及び青年モールでの調査、また今後の予定について述べていく。

2.今回の研究テーマに決定するまで

最初のテーマは「日本の相撲と韓国のシルムの比較」であった。しかし、日本において相撲を調査する場合、一体どこで調べることができるのか、相撲とシルムと比較したところで何が分かるのか、といった課題が多く見つかり、計画を立てる段階で難航した。その後先生との相談の結果、テーマを考え直すことにした。先生方から借りた本も参考にし、次に選んだテーマは「韓国の風水」であった。しかしこれも調べていくうちに、韓国で調査を行うことが難しいことが分かり、また、何を明らかにしたいのか、という点でつまずいてしまったためこれも断念した。最終的には「鹿児島の商店街と韓国の南部市場の比較」というテーマに決定した。このテーマに決めた理由としては、鹿児島中央駅前の一番街商店街の再開発についてのニュースを見たこと、そして、去年の調査報告書に南部市場と青年モールの記述があり、商店街の再開発について興味を持ったからである。

3. 鹿児島における事前調査

事前調査として、南部市場と比較する鹿児島の商店街の選定調査を行った。まず、「モンキープラザ」「一番街商店街」「天文館」の3つを候補地として選出し、それぞれについてインターネットを使い情報を集めた。モンキープラザは、玉里団地にある数十年の歴史を持つ商店街である。しかしモンキープラザについて調査すると、人を呼び込むための大規模な再開発は行っていないことが分かった。次に候補地として選んだ一番街商店街は、鹿児島中央駅のそばにある商店街である。終戦直後から形成されており歴史も長い。2020年10月の完成を目指し、現在再開発が進められている。そして、最後に候補地として検討した天文館は、市内にある中心繁華街・歓楽街の総称である。特に今回は天文館千日町1・4番区について調査した。ここでは「千日町1・4番区市街地再開発準備組合」を設立し、2020年に再開発ビルをオープンさせる予定で話し合いが進められている。これら3つの場所の情報を元に、最も適切な比較対象を考えた結果、「一番街商店街」に決定した。決定理由として、一番街商店街の再開発がニュースになっていたため、多くの人が知っているのではないかと考えたこと、再開発の話がある程度進んでいること、調査地が近いことなどが挙げられる。早速私たちは、一番街商店街の再開発について詳しく知るために、8月11日に一番街商店街の代表者へインタビューを行なった。そのインタビューによって分かったことは以下のとおりである。
一番街商店街は、もともとは地元の人をターゲットとした場として誕生した。そのため、近隣の人に向けて日用品や生鮮食品を主に販売していた。その後、新幹線の開通や駅のそばに大型ショッピングモール「アミュプラザ」の完成により、多くの人が流れて一番街商店街にも来るのではないかという期待があった。しかし実際には人が流れてくることはなかった。それは、アミュプラザ内ですべての買い物を済ませられる、すなわちアミュプラザの中で完結しているため、わざわざ一番街商店街に行く必要がないからである。次第に経営をやめる店も増え、一番街商店街は衰えていった。そこで再開発を行うことで、人の流れを作りだし、利用者を増やそうとしている。

△図1 鹿児島一番街の場所

△写真1 鹿児島一番街の様子